2016年5月16日月曜日

イラン神話に伝わるアダムとイブ



アフラ・マズダーの第六創造で造られた最初の人間ガヨーマルトは、暗黒の勢力によってあっさりと打倒されて死んだ(ちなみに、ガヨーマルトは、人間の姿で はなく、球形をしていたと伝わる)。しかし、彼の精液は大地に染み込み、三〇年後にそこから植物が生えてきて、やがて現在あるような人間の男女の姿をとっ た。これが、マシュヤグとマリュヤーナグ兄妹である。この兄妹は、当然予想されるように最近親婚を行い、息子スヤーマグをもうけた。その子がホーシャング で、七州の天下を支配し、アーリア人最初の王朝ペーシュダード王朝の祖となった。この王朝はタフムーラス、ジャムシードと続き、いったんは悪の勢力を地上 から駆逐して至福の王国を築いたものの、ジャムシードが次第に傲慢になり、王権の象徴フワルナフ(光輪)を失って、悪龍アジ・ダハーグに討たれた。
その後、この悪龍は、七州を一〇〇〇年間にわたって支配し、アーリア民族は塗炭の苦しみを味わった。だが、一〇〇〇年間が満了する日にジャムシードの末裔でペーシュダード王朝の正統後継者であるフレードーンが登場して、彼を討った。

同様の古代アーリア人の歴史は、イスラーム時代に成立した近世ペルシア語叙事詩『シャー・ナーメ』にも見られ、両者は大筋で一致するが、また、顕著な相違 も見出せる。例えば、最初の人間ガヨーマルト(近世ペルシア語ではカユーマルス)は、球形の異様な物体という設定では違和感があったのか、普通の王に書き 換えられている。また、マシュヤグとマシュヤーナグ兄妹の最近親婚は、イスラーム的には受け入れられなかったのか、『シャー・ナーメ』では言及さえされ ず、スヤーマグがカユーマルスの子とされ、世代が一つずつ繰り上げられている。
http://www.hunterslog.net/dragonology/world/iran/Shahnameh/01.html


ガヨーマルトGayōmart)はイラン神話に登場する最初の人間。名前は「死につつある命」の意。「ガヨーマルト」とはパフラヴィー語の文献にみえる名前であり、ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』では「ガヨー・マルタン」、『シャー・ナーメ』では「カユーマルス」と呼ばれている。

>アフラ・マズダーが地上を創造したとき、ガヨーマルトも生み出された。その体は金属でできており、3000年もの間霊体として存在し、若者の姿となって30年間生活していた。悪神アンラ・マンユは地上を攻撃し、動植物を滅ぼし、ガヨーマルトも毒を盛って倒した。

>最期の刻、ガヨーマルトの体から精液が放たれ、スプンタ・アールマティの胎内に入り、それから40年が経った。するとそこから潅木の木が生えて男女の形に変わり、人類の祖となる男マシュヤグと女マシュヤーナグが生まれた。一緒に殺された牡牛の精液からも、さまざまな穀物薬草が生まれた。ガヨーマルトの死体は7種類の金属になった。



マシュヤグとマシュヤーナグMašyag,Mašyānag)は、ゾロアスター教文書に伝わる人類史初期の人間である。兄のマシュヤグと妹のマシュヤーナグのつがいであった。

概要

教祖ザラスシュトラと近しい人物だったとされるジャーマースプがザラスシュトラから伝えられた教えを記した『アヤードガーリー・ジャーマースピーグ』(Ayādgār ī ǰāmāspīg)などに言及されている。
2人は共にガヨーマルトが地中に放出した精液によって生まれた兄妹であり、ガヨーマルトがアフリマンに殺されたので彼ら以外に人間はいなかった。はじめに麻の形で地中から生まれ出て、後に人間の男女の形となったという。
2人はしばらく婚姻を結ばずに暮らしていたが、93年6か月を過ぎない間に婚姻を結び、男と女で1組となる双子を7組産んだ。そのうちの1組である スヤーマグとナシャーグからフラワーグ、フラワーギーという兄妹が産まれ、この兄妹からホーシュヤングとゴーザグという兄妹が産まれる。この2人から ウィーワング兄妹が産まれ、この2人の子供がタクモールブ、ナレサフ、スピドユル、ジャム、ジャマグの5人である。7組の双子はそれぞれ共に生まれたもう 一方の異性をつがいとし、彼らの子孫からゲーティーグ界の人類の歴史が始まった。ホーシュヤングはアーリア人最初の王朝ペーシュダートを作り上げている。

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