6日、AP通信が伝えたところによると、このほど、アメリカのジェームズ・クラッパー(James R. Clapper)国家情報長官(DNI)の顧問を務めていた人物が辞任に追い込まれていたという事実が明らかになった。

問題となっているのは、国際経済や対外投資問題を専門としている、米ジョージタウン大学のセオドア・モラン(Theodore Moran)教授である。モラン教授は、2007年からクラッパー長官の下に設置された対米投資問題に関する諮問委員会の顧問になっていたほか、重要な国際問題について戦略的観点から分析を行なう国家情報会議(NIC)の顧問にも就任していた。しかし、その一方で、2010年から中国の通信企業、華為技術(Huawei Technology)のコンサルタントとして報酬を受け取っていたようである。

周知のように、アメリカでは、華為技術が中国政府の手先となって情報収集活動を行なっているのではないかという疑惑が強く持たれている。実際、2012年10月には、米下院が報告書を発表し、政府調達において、華為技術の製品を外すように勧告が出されたことは、まだ記憶に新しいところだろう。報告書をまとめた米下院情報特別委員会のマイク・ロジャーズ(Mike Rogers)委員長は、情報面でアメリカと協力関係にあるカナダに対しても、同様の措置を講じるように要求するなど、非常にナーバスになっていることは間違いない。

今回の件についても、華為技術との関係を把握した米連邦議員からの指摘を受け、モラン教授を顧問から外すという決定が下された模様である。モラン教授は、立場上、機密情報に接することができる資格を有していたから、こうした措置を取ることは妥当な判断と言えるだろう。

なお、AP通信の取材に対して、国家情報長官室(ODNI)は、モラン教授が実質上、2013年9月からNICと関係がなくなったことを認めている。ただし、辞任の理由についてコメントすることは避けており、実際のところ、情報漏洩があったかどうかについては明らかにされていない。

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"Chinese Firm Paid US Gov't Intelligence Adviser"
New York Times, December 6, 2013.

米情報長官顧問を辞任か 中国企業兼務の米教授
『msn産経ニュース』(2013年12月7日)