前回999は黙示録の獣666をひっくり返したもので、バビロンの大淫婦を乗せてくるのではなくて、契約の箱の上のケルビムを表し、神を乗せてくるものであると述べました。
神の乗り物ですから、乗客は非常にシビアに選ばれています。資格のある者しか乗れません。パスがなかったら、規則により宇宙空間に放りだされ、死んでしまうのです。
始発駅は東京の上野ですが、作中冒頭で登場するカップルの、999のパスを彼氏にねだって2億4千万円で買った女の子は結局鉄郎にひったくられ、999には乗れません。裕福だからと言って、神の乗り物には乗れないのです。
メガロポリス東京は高度に発達した物質主義資本主義社会を表していて(でも貧しいものに憐れみを持たない)、それを批判しているのかと思いきや「タダで機械の体をくれる機械化惑星は共産主義社会を表している(人をモノのように扱う)」世界を否定し鉄郎によって崩壊に導かれてしまうのだが実はこれもギミックであるのではという疑問が湧いた。
「タダで機械の体をくれて永遠の命を保証する」
と言って多数の人々を取り込むのが実は
「イエスを信じさえすれば永遠の命が与えられます」
と言ってその実女神イナンナとなった聖母信仰に導く異教に乗っ取られたカトリシズムを暗示しいることに気付いたからである。
永遠の命を得ることは神になることである。
鉄郎が機械化母星メーテルに到着するまでに受けた試練はそれにふさわしい資格を得るために受けたものだった。
プロメシュームは
「お前は全てのテストに合格した」
と鉄郎に言っていた。
宇宙の統治者として相応しい能力と人格があると認定されたもの=メシアである。
それなのに最後で裏切られ、生身の人間にとっては地獄のような星で、ネジにされるという。
まさにイエスが受けた否定とおんなじですね。
その最後の最後で鉄郎に話しかけてきた神の役割がドクター・バンである。
彼は旧世界を滅ぼし、鉄郎とメーテルを救う。
<神は何もしないかもしれない>
しかし二人の新世界の神を乗せて走る999に乗り込んできたのが魔女王プロメシュームである。
逆恨みの八つ当たりでメーテルへの嫌がらせのために鉄郎を絞め殺そうとするが、鉄郎への無償の愛を抱いたガラスのクレアの捨て身の攻撃によってプロメシュームは砕け散ってしまう。
プロメシュームはほぼ万能の女王である。
ラーメタルから出て、娘を連れて二人きりで、小さな星から機械化母星メーテルを造り、やがて宇宙に広がる機械文明を打ち立て、ほぼ宇宙の全域を支配する。
しかし、脆いガラスの体であるクレアの攻撃に滅んでしまう。
中学生の時にみた映画のこのシーンが不可解だった。貞子や伽耶子みたいに悪霊のようになって999に忍び込んできたプロメを、か弱いガラスの少女が撃退してしまうのだ。
メーテルに鉄郎が愛を打ち明けた時に、失恋して泣いていたあの少女がまさか・・・本当に鉄郎を愛していたんだなあと思った。
メーテルは見ていただけだったのに、恋敵に永遠に借りを作ってしまったね。
<永遠の命は意味がないかもしれない>
クレアに限らず永遠の命をなげうって鉄郎を救った機械化人は何人もいる。
愛する鉄郎を失って永遠に生きることなんて耐えられない。鉄郎のためなら命を惜しまない。それ、鉄郎のお母さんだね。
愛>永遠の命
愛から、永生が生まれる。
これが、キリスト教の価値観。
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